2018年3月の絵本
「かずのえほん」 作・絵:いもとようこ
「おはなみくまちゃん」 作:シャーリー・パレット 絵:デヴィット・ウォーカー
「なつみはなんにでもなれる」 作・絵:ヨシタケ シンスケ
「にっぽんしょうがっこう」 作・絵:のぶみ
絵本の紹介
「なつみはなんにでもなれる」
2月に続いて3月の紹介絵本もヨシタケシンスケさん作・絵の『なつみはなんにでもなれる』です。
ヨシタケワールド満載のこの絵本は、2017のMOE絵本屋さん大賞で1位となった本です。
まず、表紙をみてください、表紙はなつみがいます。自慢げに空をあおぎ、マントをかざしています。これはなんになっているのでしょう。絵本を開いていくと、なつみがものまねをし、おかあさんがあてる というゲームが続いていきます。どうやらいつもしているらしいのですが・・・おかあさんは気乗りしない雰囲気です。絵本の中に描かれているお母さんの"目"におかあさんの気持ちが現れています。「すごくいいことおもいついたよ」というなつみ、「えっ また?」と返すおかあさん。そこでなつみのポーズがはじまっていきます。それがおもしろいというか不思議と言うか、わけわからんというか、子どもの一生懸命さと大人のちぐはぐさ の妙が面白いです。
くたっとねているなつみ→おかあさんが「えー ひるね?」
答え→おかあさんがゆですぎたブロッコリー
よろこんでいるなつみ→「えっ―――・・・?」と、わけわからないふうなおかあさん
答え→からあげいっぱいたべたいきもち
よれっとねころんでいるなつみ→「ん―――。なきたいきもち?」
答え→ちがうよ はいしゃさんにいきたくないきもち だよ。
と、なつみとおかあさんのやりとりは続きます。
結局、おかあさんの答えは全然あたりません。最後は?? うまく幕引きしました。
この最後が何かなあとみんなに考えさせる終わり方 なるほど 感心!!
子ども時代をよく表している作品です。このなんでもないものにひかれる時間こそが、子ども時代にしかできない宝なんだなあとつくづく思えてきます。大人になると忘れていく時間を延々としていくなつみ、子ども時代をこんなふうに意味なく過ごせることの”しあわせ”を思いました。