2018年7月の絵本
「やさいだいすき」 作・絵:柳原良平
「おやおやおやさい」 作・絵:石津ちひろ
「やさいのがっこう とうもろこしちゃんのながいかみ」 作・絵:なかやみわ
「りんごかもしれない」 作・絵:ヨシタケシンスケ
絵本の紹介
「りんごかもしれない」
第6回MOE絵本屋さん大賞第1位受賞作品。
『りんごかもしれない』この表紙をみてふむふむなんだろう?と興味をひきつけます。テーブルの上においてあったリンゴをみて、色々と考えをめぐらす”ぼく”。”ぼく”とはかいてないので、ぼくじゃないかもしれません、主人公の登場。「リンゴかもしれない」これはおもしろい哲学的な絵本です。リンゴから思考回路や観察力が全開していきます。リンゴひとつで、思考空間がこんなに広がって遊べるんだと感心するばかりです。
リンゴのイメージがふくらんでひろがって果てしなく物語は進んでいきます。りんごからこの発想おそれいりました。身近な存在であるリンゴだからこそ、この仰天感があるわけですが、ヨシタケシンスケ氏のこの絵本づくりには脱帽です。リンゴのむこうにある宇宙観を考えられる感性のすごさ。こんなふうに物事をとらえてみると、いろんなことで遊べることになりますね。このユニークな絵本づくりは、絵本を手に取り子ども達に紹介する大人だけでなく、子どもも含めて非常にみんなの心をわしづかみにしました。
リンゴかもしれない。リンゴでないかもしれない。リンゴだ。リンゴでない。この発想から、物を見る目、科学の力の基本が広がっていくように思います。科学は何でも疑ってみる事から始まります。自分が疑問に思ったことを掘り起こしていくことで、大きな発見につながっていきます。
さて、しかし、そんな尊大なことを語りかけているのではなく、リンゴでこんなに楽しめるよ というのが、ヨシタケワールドの面白い所。最後は、「おかあさん、コレたべていーい?」に、お母さんの「ドーゾ」とさらりと終わるのも絶妙。あまりにもあっけなくストンと終わる。まるで落語を見ているかのような展開になりました。