2016年10月の絵本
「でんぐり でんぐり でんぐりこ」 作:長野 ヒデ子・絵:山口 マオ
「102ひきのねずみ」 作・絵:はせがわ かこ
「まんげつのよるまで まちなさい」 作:マーガレット・ワイズ・ブラウン・絵:ガース・ウィリアムズ
「雑木林コレクション」 作・絵:今森光彦
絵本の紹介
「まんげつのよるまで まちなさい」
「まんげつのよるまで まちなさい」の題を読みながら、お月見をまちどおしく待っている山の動物さんたちのお話かなと、想像していました。が、なぜ「まんげつのよるまで まちなさい」なのか、読んでいくとわかってきます。お月見のお話ではありません、楽しみにしてくださいと、終わりたいところです。
さて、マーガレットの詩を奏でるような文章を楽しみながら、ガースの生きてどこかで動いているような動物さんたちの絵に、ひたってみてください。ガース・ウィリアムズの絵の繊細さは、描かれている動物たちの毛の一本一本に現れています。あらいぐまのぼうやのふかふかなしっぽ、お母さんのあらいぐまのちょっとごわっとした微妙な毛の質感も、うまく鉛筆1本(たぶん鉛筆)を使って素材の雰囲気を実に精確に出しています。「すごいなあ」と思ってながめて絵の中に入り込んでいきます。
お洗濯の場面では、お母さんとこどものあらいぐまの体の線のふんわかさ、お洗濯のしゃぽんだまのもこもこ感、あらいぐまの目玉のやさしい輝きにも表情がよく出ています。二人でお目めをあわせてお話をしている場面のあったかさが伝わってきました。ページをめくりながら、二人の表情やしっぽの動きをみて楽しんでください。一部茶色を効果的に使い、カラーでなく白黒だからこその質感、表情感を十二分に出している味のある絵となっています。
マーガレットの詩のような文章を堪能し、ガースの繊細な温か味のある絵を親子でぜひじっくりと楽しんでください。秋の月をめでるのは、外国でも同じですね。素敵な絵の中の満月を、満月のよるまでを、ぜひお子さんと一緒に味わってください。